横浜に住むワーママに、実情、本音を語ってもらう、ワーママ・インタビュー第二弾。
ワーキングマザー、ワーママというと週5日会社勤めのママをイメージする人が多いでしょう。
『平日週5勤務、夫婦共働き。夫婦ともに実家が遠方。』
そんなワーママらしいワーママが、今回インタビューに応じてくれた土屋忍(つちやしのぶ)さんです。
つちやさんは、大学卒業後メーカーに勤務し結婚。結婚後も辞めずに働き続け、第一子出産後職場復帰しました。
現在つちやさんの子どもは小学6年生。最近ではいくらか手がかからないようになってきたけれど、子どもが小さいころは仕事と家庭の両立で大変だったそうです。
今回は、つちやしのぶさんに仕事と家庭の両立と病児保育やファミサポの活用についてインタビューをしました。
*インタビュアー:くろだゆうみ(はまみ~運営)

目次
職場復帰
つちやさんは、メーカー勤務で事務系の仕事をしていました(現在は転職して別会社。転職の話はこちら)。福利厚生制度も比較的充実していて産休育休も取得しやすかったそうです。
つちやさんの子どもは10月生まれ。有給休暇も合わせて9月から産休に入り、丸一年、産休育休を取得しました。
くろだ「ということは9月に職場復帰?よく保育園に入れましたね。」
つちや「一つだけあったんですよ。駅から遠い公立保育園。」
くろだ「不便なところだと年度途中でも入園できることありますね。」
つちやさんの職場では妊娠出産で退職する人はほとんどいなくて、職場復帰が当たり前。
産後、職場復帰すると同僚の風当りがきついという話もちらほら耳にしますが、つちやさんの職場ではそんなことはありませんでした。同僚はつちやさんの職場復帰を歓迎してくれました。
くろだ「職場復帰しやすいのは、よかったですね。産前産後で仕事に変化はありましたか?」
つちや「仕事内容は変わりませんが、働き方は変わりました。」
くろだ「どのように変わりました?」
つちや「出産前は残業する日もあったけれど、職場復帰後は時短勤務。残業はしなくなりました。」
くろだ「仕事内容はあまり変わらないけれど、残業がなくなった?」
つちや「前は自分から残業をしていたんだと思います。だらだらが減りました。」
子どもがいると仕事ができないと思われることもあります。けれど、実際は、限られた時間で効率よく仕事をこなそうと頑張っているママパパも多いですね。
職場復帰と実家のサポート体制
つちやさんが勤めていた会社は育休も取得しやすく、小学校卒業まで時短勤務ができました。比較的子持ちでも働きやすい職場環境です。
それでも、仕事と育児の両立につちやさんはとても悩んだそうです。
つちやさんが職場復帰したのは、子どもが1歳になる少し前。子どもが小さいうちは何かと病気にかかりやすかったそうです。
つちや「子どもが3歳になるまですぐ体調を崩して。とにかく毎日必死でした。」
くろだ「子どもってすぐ熱出ますよね。仕事を休まなければいけないこともしばしば。つちやさんはそういうときはどうしてました?」
つちや「夫と交代して仕事を休んで調整してました。義母が駆けつけてくれたこともあります。」
つちやさんの実家は飛行機の距離にあります。夫の実家はそれに比べたらまだ近いほうですが、電車やバスで1時間以上かかるそうです。
それでも「子どもが熱を出した」と連絡すると、夫の母(義母)は駆けつけて看病してくれたそうです。
つちや「連絡するとお義母さんが一週間分の荷物を持って、子どもの看病をしに来てくれて、すごい助かりました。」
くろだ「一週間分の荷物ということは泊り?」
つちや「もちろん。」
くろだ「義理の家族が自宅に寝泊りするのに抵抗はなかったですか?」
つちや「ありませんでした。元々、仲が良くて、嫁の私を実娘のようにかわいがってくれています。もちろん孫もかわいがってくれますよ。」
くろだ「いい関係ですね。」
つちや「子どもをお義母さんに預けて、夫と私は仕事。帰宅するとご飯ができていて。翌日の支度もしてくれたり。」
くろだ「優秀すぎる!うらやましい!」
つちや「お義母さんは大好きな孫と一緒にいられて、私と夫は安心して働きにいけました。お互いウィンウィンで、本当に助かりました。」
くろだ「いいですね!」
つちやさんの義母は協力的で、関係も良好です。けれど、義母に「子どもの看病のために来てほしい」と頼むのは躊躇します。
つちやさんは義母にお願いするときに、気をつけていたことが2つあったそうです。
一つは、夫からお願いすること。実の子のほうが言いやすいですよね。
もう一つは、義母に無理強いはしないことです。実家との良い関係を壊さないためにも工夫は大切ですね。
実家に頼れない!病児保育の活用
育児の強力サポーター・義母が倒れた
つちやさんは義母の心強いサポートで、子どもの病気というピンチを切り抜けていました。
ところが、頼みの綱である義母が体調を崩し外出が難しくなり、つちやさんは子どもの看病を義母にお願いできなくなりました。
くろだ「お義母さんに頼れなくなったんですね。」
つちや「お義母さんから『ごめんね~しばらく行けなくなっちゃった』と電話があって。もちろん、無理にお願いするつもりはなかったので、お義母さんに看病をお願いしないことにしました。」
つちやさんがお義母さんを頼れなくなったのは、子どもが1歳半ごろのことでした。まだまだ病気にかかりやすく、一度具合が悪くなると回復するまでに一週間かかることもしばしば。
看病のため仕事を休むことも増えました。夫と交代で仕事を休みなんとか対応していましたが、夫婦二人とも有給休暇がみるみるうちに少なくなりました。
限界を感じたつちやさんは、病児保育を利用することに決めました。
病児保育・病後児保育とは
病児保育とは、医療機関が併設された保育サービス施設で、病気の子どもを預かってくれます。保護者が仕事、事故、出産、冠婚葬祭などやむを得ない事情で保育できないとき利用できます。
また、病後児保育というのも保育サービスもあり、こちらは回復期の子どもを預けることができる保育園です。
病児保育・病後児保育はいずれも一日2000円で利用できます。
2019年7月1日現在、横浜市には病児保育をしている施設は22か所、病後児保育をしている保育園は4か所あります。
くろだ「お義母さんに頼れなくなってから病児保育を登録しました?」
つちや「いいえ。育休中に調べて登録までしてました。子どもが義母になついていたから利用しませんでした。」
くろだ「育休中に登録しておいてよかったですね。」
つちや「登録料、維持管理費用がかからないですしね。」
病児保育を実際利用してみて
病児保育に子どもを預けるには、医者の診断書が必要になります。
つちやさんは、子どもが朝から具合悪いときは、まず小児科を受診し病児保育を利用しました。その日に病児保育が利用できない場合は、仕事を休み、翌日の病児保育を予約しました。
午後から子どもが具合悪いこともあります。そのときは、夕方小児科行き、診断書をもらい、翌日の病児保育を念のため予約しておきます。翌朝も具合が悪ければ病児保育を利用し、回復すればキャンセルしていたそうです。
病児保育の保育時間は保育園よりも短く、病児保育を利用するることで仕事を遅刻早退することもあります。お金もかかるので病児保育の利用をためらってしまうママパパも多いです。
くろだ「病児保育を利用することをためらう人もいますが、つちやさんはどうでした?」
つちや「実家は頼れないし、有休は残ってない。背に腹はかえられないので。」
くろだ「病児保育の金額が気になる人もいますよね?」
つちや「横浜市の病児保育はベビーシッターを頼むより安いですよ。2000円は一日分の料金ですから。」
くろだ「病児保育に預けて、お子さんの様子はどうでしか?」
つちや「ごきげんでした。」
病児保育では、看護師さんがみてくれるので親も安心して働くことができますね。
つちやさんは、仕事を遅刻早退しても病児保育を利用したほうがよいと語ります。
一日休むよりは、少しでも出勤し仕事をしているほうが仕事がたまらずママパパの気持ちが楽になるからです。
つちやさんは、子どもが具合悪いことを職場に連絡するときには、「こどもが熱を出した。病児保育に預けてから出勤する。」「子どもを看病するため、今日は仕事を休ませてほしい。明日は病児保育を利用して出勤する。」など話していたそうです。
もし病児保育を利用しなければ、「子どもの具合が悪いから仕事を休ませてほしい」としか説明できません。病児保育を利用することで、仕事に対し積極的に取り組む姿勢を職場にアピールしやすくなります。
頼りになるファミサポ!第三の実家
インフルエンザの猛威で保育園に通えない
病児保育を利用することで楽になったつちやさんですが、病児保育では解決できない問題がありました。
あるときインフルエンザが猛威を振るい、つちやさんのお子さんが通う保育園では児童の大半が欠席しました。学校とは違い保育園には学級閉鎖はありませんが、保育園側から「できるだけ登園をしないでほしい」と登園自粛のお願いがありました。
つちやさんの子どもは元気でしたが、保育園に通えばインフルエンザに感染するおそれがあります。
つちやさんは夫婦で話し合った結果、保育園をしばらく休ませることにしました。
そうなると保育園を休む間、子どもの世話をどうするかが問題になります。つちやさんは夫と話し合い仕事を交代して休むことにしました。けれど、二人とも仕事をどうしても休めない時間が数時間ありました。
つちやさんは、二人とも仕事がある数時間はファミサポ(ファミリーサポートセンター事業)を利用することにしました。
ファミサポとは?
ファミリーサポートセンター事業(ファミサポ)とは、乳幼児や小学生など子どもを預かってほしい人と、それをサポートする人との連絡・仲介をする制度です。横浜市では、子育てサポートシステム(子サポ)と呼びます。
ファミリーサポートセンター事業では、ママパパがファミサポに登録すると、センターではサポートをしてくれる人を紹介します。サポートしてくれる人に子どもを預けたり、保育園や学校、習い事などの送迎をお願いできます(利用は有料)。
ファミサポ(子サポ)を利用してみて
つちやさんがファミサポ(子サポ)を頼んだのは、利用したい日の3日前。横浜市の子サポでは通常約1週間前に予約する必要があるため利用ができない可能性もありました。けれど、急なことなのにサポーター(援助会員)の人は快く預かってくれました。
子サポを利用するには、事前の登録とサポーターとの面談が必要になります。つちやさんは育休中にサポーター(援助会員)との面談を済ませていたので、急な利用でも大丈夫だったそうです(必ずしもうまくいくとは限りませんのでご注意)。
くろだ「ファミサポでは、サポーターの家で子どもは過ごすことになりますが、つちやさんのお子さんの様子はどうでした?」
つちや「子どもはごきげんに過ごせたようです。サポーターの方って子どもが好きな人ばかりで、子どもと上手に遊んでくださるんです。」
保育園の登園自粛というピンチをファミサポの活用で乗り越えたつちやさん。その後、ファミサポを利用する機会が増えたそうです。
くろだ「どんなときに利用しましたか?」
つちや「美容院や歯医者とか自分の用事を済ませたいけれど、夫は仕事で預けられないときに利用しました。」
くろだ「平日会社勤めだと土日に自分のことをやりたいですよね。」
つちや「リフレッシュになりますしね。あと、職場の飲み会に参加するときとか。」
くろだ「そういう理由でも利用できるんですね。」
つちや「ファミサポを利用する理由は、仕事でなくてもいいんですよ。」
つちや「職場の飲み会は時々は顔を出したくて。歓送迎会とか出ておきたいですね。」
くろだ「そうですね。歓送迎会は職場での人間関係で大切ですね。」
つちや「歓送迎会って時期がかぶってしまうので、夫も同じように飲み会だったり。」
くろだ「ありがちですよね。それでファミサポを利用したんですか?」
つちや「そうです。サポーターの方に保育園に迎えに行ってもらって、子どもに夕飯を食べさせてもらいました。手の込んだ料理でホントありがたくて。『ハンバーグたべた!』と言って子どもが喜んでました。手作りハンバーグの威力はすごいですね。」
くろだ「お子さん、大喜びですね。」
つちやさんはファミサポを利用することで職場の飲み会に参加できました。「子どもがいるのに酒を飲みに行くのか?」と思う人もいるかもしれません。
けれど、職場の飲み会はお酒を飲むだけではありません。日ごろの労をお互いがねぎらったり、人間関係を円滑にするためのものでもあります。職場の飲み会に全く参加しないよりはいくらか参加するほうが、働きやすいこともあります。
なお、つちやさんは夜9時ごろまで利用したそうですが、横浜市の子育てファミリーサポートシステム(子サポ)は、宿泊を伴う預かりは禁止で、原則、利用時間は朝7時から夜7時までとなっています。それ以外の時間の預かりは子どもを預かってくれる人との交渉次第です。
くろだ「ファミサポを利用したのは赤ちゃんや幼児のころだけですか?」
つちや「小学生になってからは学級閉鎖のときに利用しました。」
くろだ「学級閉鎖は困りますね。」
つちや「1,2年生のうちはまだ留守番が心配で。でも、学級閉鎖のときは普段通っている学童では預かってくれなかったんです。」
くろだ「それで、ファミサポを利用したんですね。」
つちや「保育園のころと違って『嫌がるかな?』とちょっと思いましたが、そうでもなかったです。『〇〇さん家に行くよ』と声かけると子どもも『わ~い』と喜んで。3つ目の実家の感覚ですね。」
つちやさんは、いつも同じ人に預かりをお願いしていました。サポーターとの人とも信頼関係がしっかりできて、子どももサポーターさんのことが大好き。子どももつちやさん自身も、サポーターさんのことを”実家のように”感じているそうです。
仕事と家庭の両立する鍵は、自分から行動すること
自分でセーフティーネットをつくる
くろだ「つちやさんは、保育園、病児保育、ファミサポ、学童とさまざまなサービスを利用されていますが、他人に預けることに抵抗感はありませんか?」
つちや「子どもにとってもプラスになったし、自分にとってもプラスになったと思います。」
くろだ「つちやさんのように実家を頼れない家庭も多いですよね。」
つちや「でも、セーフティーネットは自分で作れると私は思います。」
つちやさんのように実家を頼れない人は多い。けれど、実家以外にもママパパを支援する制度はあります。「誰も頼れない」と嘆き愚痴をこぼすだけではなく、自分から調べて行動すれば、預け先、自分の味方をつくれます。
夫婦での情報共有
「夫にお願いしても協力してくれない」「『きみがやってよ』と言われ押し付けられる」など愚痴をこぼすワーママも多い。夫に家事育児をやるようにお願いしても断られ、夫に頼むことを諦め遠慮するママもいます。
くろだ「夫に何を言っても無駄だと考えてしまう人もいますね。」
つちや「そうですね。ママはひとりで抱え込んでしまいがち。」
くろだ「つちやさんは、夫婦で話し合って決めてますね。」
つちや「夫婦で情報共有することが大切だと私は思います。職場では情報共有を当たり前にやっていることなのに、夫婦ではうまくいかないことありますよね。『わかってほしい』『そんなこといわなくてもわかるでしょ?』という意識があるのかもしれません。」
職場だけでなく家庭においても自分から伝える、ちゃんと話し合うことが大切なんですね。
自分らしく働くには、自分がどうしたいかを伝える
「子どもが小さいうちはあまり働きたくない」、「できるだけ長い時間、一緒にいてあげたい」という理由で、会社勤めを辞めたり、バイトやパートに切り替えるママもいます。
一方で、子どもがいることで、ママは残業や出張が難しく「簡単な仕事しか任せられない」「キャリアを積めず出世から遠ざかってしまう」という悩みにおちいりがちです。
子ども・家庭を優先したいと考える人もいるし、仕事・自分のキャリアも大切にしたいと考える人もいるでしょう。私はどちらの考え方でもよいと思います。
つちやさんはとてもバランスよく家庭と仕事を両立させていると私は思います。
つちやさんが仕事と家庭を両立できているのは、「夫が育児に協力的」、「子持ちの人が働きやすい職場環境」という条件だけではないと私は思います。
つちやさんが自分がどうしたいかを自分から周囲に伝えてきたからです。
子どもがいると仕事を任せにくいと周囲に思われやすいですが、つちやさんは「〇〇日なら残業できます」と自分から職場に伝えていました。
子どもが病気ケガをしたときも、まずは夫に伝えて話し合うようにしています。
”自分がどうしたいか”を考え、自分から伝える。そうしてつちやさんは、子どもの預け先だけでなく、自分の味方をつくり、自分らしくいられる居場所をつくってきた、と私は思います。
「働き続けたい人が自分らしく働き続けることができる社会にしたい。それが私のミッションです。」最後にそう語ってくれたつちやさんは、平日は会社勤めで、休日にはワーキングマザーや共働き家庭をサポートする活動を個人でしています。その活動の一つに育休後復帰セミナーがあります。
育休後復帰セミナーでは、職場、家庭、保育園などの場面で、育休から復帰するまでに気を付けるとよいポイントを紹介します。
パパも参加OKなので、ご夫婦で参加するのもおすすめです。イベントページはこちら
つちやしのぶさんの問い合わせ先以下にあります。
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また、つちやしのぶさんがワーキングマザーの視点で書いたコラムが面白いのでぜひお読みください。
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●インタビュアー、記事編集:くろだ ゆうみ
はまみ~(横浜ワーキングマザーの会)運営。フリーでブロガー・ライターとして活動しています。
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